沖縄・球美の里について

「沖縄・球美の里」は2012年7月に沖縄県の久米島に設立した、国内では唯いつ通年で利用できる、福島の子どもたちのための保養施設です。

私たちはここで、毎回約10日間、福島の子どもたちや保護者約50人をお迎えしています。

海に行ったり、自然観察したり、泥染めをしたりお菓子をつくったり、地元の方々と交流したり、おもいっきり体を動かして遊んだり、わくわくするプログラムが盛りだくさん!

2012年のオープンから2019年1月で100回を迎え、子ども3,449人、保護者834人、計4,283人が球美の里の保養に参加しました。

施設については「施設の紹介」をご覧ください ≫

設立の経緯

2011年3月11日、東日本大震災によって福島第一原発事故が発生しました。2か月後の5月、月刊誌DAYS JAPANは「放射能測定器支援募金」を開始し、チェルノブイリこども基金の有志による「未来の福島こども基金」とともに、福島県の市民団体に、数多くの食品測定器やホールボディカウンターを送りました。これが福島県に少なくとも6か所の市民放射能測定所が開設されたきっかけとなりました。

その後12月にDAYS JAPANは「DAYS被災児童支援募金」を立ち上げ、福島原発事故で被災した子どもたちを保養させるプロジェクトを開始しました。食品放射能測定所の支援や保養所開設の動きは、私たちがチェルノブイリ事故の被災者救援を行った経験を生かしたものです。

保養所を開設するための土地を探していた私たちを、多くの方々が支援してくださり、2012年1月には、元沖縄県知事の大田昌秀さんが久米島を紹介してくださいました。久米島は沖縄本島から西に100キロの地点にあり、フェリーで約3時間半、航空機で25分です。

探し当てた土地は、久米島の山合いにある元陶芸工房の跡地でした。

ここからは日本の浜100選に選ばれたイーフビーチや、東洋一といわれる規模を持つサンゴ礁でできたハテの浜、ベランダからは朝日が海から上がるのが見えます。天気のいい日は渡名喜(となき)島、慶良間(けらま)諸島や座間味(ざまみ)島が見えます。

こうして2012年3月に久米島で当時の町長やアーティストの石井竜也さん参加のもとで福島の子どもの保養プロジェクト設立の記者発表を行い、その後突貫工事で建物の改修作業を行いました。オープンしたのは7月5日。福島の子どもと保護者からなる51人の第一次グループを受け入れました。2012年10月9日にNPO法人になりました。

子どもは交通費も滞在費も無料で受け入れ、未就学児の保護者は第2次グループ以降、航空運賃のみ支払っていただいています(第1次は保護者も無料)。学校の休暇中には小中学生を招待し、学期中は未就学児童と保護者の母親を中心に受け入れて​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​います。

支援者の方々の力もあり、社会にひろく支持されていることが認められ、2015年7月7日には、認定NPO法人の認可が下りました。

写真:2012年 島の人たちの協力でよみがえっていく施設

島の人たちの協力でよみがえっていく施設。2012年
島の人たちの協力でよみがえっていく施設。2012年

私たちの目的と運営について

私たちの目的は、2011年の福島第一原発事故によって被災した子どもたちの健康維持を支援することです。

私たちの目的と運営について

チェルノブイリの経験から

チェルノブイリ事故の後、「日本でも原発が必ず事故を起こす」と言い続けてきた多くの人がいました。しかし残念なことに、事故を止めることはできませんでした。

2011年3月、福島原発事故が起こり、政府やメディアが「安全」という言葉を繰りかえした結果、多くの人々が被曝をしました。そして今も人々は避難生活を余儀なくされたり、放射能の値の高い地域に住み続けたりしています。場所によっては、チェルノブイリでは人々の居住が禁止されている区域と同じレベルの放射線量がある地域に子どもたちが住んでいます。福島原発事故は、5年以上たった現在に至っても、多くの人々を苦しめています。そしてチェルノブイリでも、事故から30年近くたった現在でも人々に様々な影響を与えています。

これは人災ですから、救援や支援も責任者たちの手で行われるべきという考え方もあるかもしれません。そうした運動も大切とは考えますが、同時に時間は待ってくれません。責任者たちが動いてくれるまで、子どもたちを放置することはできません。

泥染めののための泥に入って遊ぶ子どもたち
泥染めののための泥に入って遊ぶ子どもたち
どんな昆虫が捕まるかな?森と水辺生き物探しプログラム
どんな昆虫が捕まるかな?森と水辺生き物探しプログラム

私たちの目的

その広範な被害のうち、汚染された土地に今も住んでいる子どもや、事故当時被曝した子どもたちは、一定期間保養することによって、免疫機能を回復し、病気になりにくい体を作ることが可能です。「沖縄・球美の里」は、子どもたちが汚染されていない土地でのびのびと遊ぶことでストレスから解放され、汚染されていない食物を食べることで、体内被曝の進行から解放され、抵抗力、免疫力をつけることを目的としています。

チェルノブイリ原発事故の後、放射能は人々の免疫機能を冒しました。その結果さまざまな深刻な病気も発生しました。子どもたちが病気を発症するのを防ぐために、すぐれた医療に期待する人々も多いでしょう。それも大切なことです。しかし免疫機能が放射能で冒されるのを防ぐためには、避難か保養が役立つということを、私たちは20年以上にわたるチェルノブイリの被災地救援の仕事から学びました。

「沖縄・球美の里」はそうした時間と空間を子どもに与えるための施設です。1〜2週間ほどの保養では、元の場所に戻れば、すぐにまた体は元に戻るのではないかという意見もあります。確かに、保養によって抵抗力をつけても、またしばらくすると免疫機能は弱まっていき抵抗力は落ちます。だからチェルノブイリでは、抵抗力が落ちて発症する前にまた次の保養することが必要だと言われています。本当に安全な状況になるまで子どもを疎開させられたら一番いいのですが、それができない事情があるなら、この保養を繰り返すほかありません。

運営

認定NPO法人沖縄・球美の里の運営母体は理事会で、理事会が団体の運営の総責任者です。

2015年9月から、理事長は向井雪子、副理事長を鈴木薫がつとめています。保養実施および運営は「東京本部」、沖縄県久米島の「久米島事務局」の2つの球美の里の事務局が行い、子どもたちの募集と保養送りだし業務をいわき放射能市民測定室たらちね・こども保養相談所が担っています(業務委託)。

久米島事務局は保養施設の管理と、子どもたちや保護者・ボランティアの受け入れ、東京本部は運営資金のための募金集めや、宣伝のためのイベント開催などを主たる業務としています。

球美の里は企業・団体・個人の寄付金によって運営をしています。寄付金は日本国内および海外の人たちが開催したチャリティイベントの収益などが含まれます。また、石井竜也さんのようにチャリティコンサートの収益を寄付していただき、スタート時の施設の建物の改修資金として使わせていただいた例もあります。そのほか匿名の形で多額のご寄付をいただいているケースもあります。

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沖縄に設立された意味

沖縄は、多く方々が沖縄戦で命を落とした土地です。

そして久米島も、とても痛ましい歴史を持っています。その悲惨な体験をした久米島のみなさまが私たちを温かく迎え入れてくださったことに、心からの感謝を申し上げます。

久米島には、戦争で命を奪われた島民たちの名前を刻んだ碑や慰霊碑があります。私たちは小学生以上の子どもたちの保養のときには、ここを必ず訪れています。

沖縄に設立された意味

守るべきは福島だけでなく沖縄の子どもでもあること

私たちは、この施設が沖縄という地に建設されたことの意味を、重く受け止めています。

特に久米島は、沖縄戦後に日本軍によって住民がスパイ扱いをされて処刑されるという痛ましい事件が起こった地です。また沖縄は、歴史の中で日本に占領され、日本の戦争の「捨て石」にされ、米軍の占領地として差し出され、今も米軍基地に巨大な面積を占められ、差別と被害を受け続けている地です。日本政府によって米軍基地縮小化・本土への移転の約束は、たえず反故にされ、沖縄の人々は裏切られてきました。

プログラムでも訪れる久米島のシンリ浜は美しい夕焼けで有名です。
プログラムでも訪れる久米島のシンリ浜は美しい夕焼けで有名です。

こうした地で、福島の被災者の子どもたちに、もっともあたたかい受け入れをしていただけたこと、特に久米島町が驚くほどの支援をしていただいていることに、私たち理事・職員は深く感謝をしております。同時に私たちも、より一層歴史を学び、この地で保養をした子どもたちが、やがて将来、沖縄と本土の正しい関係を築く担い手になることを願います。

守るべきは福島だけでなく沖縄の子どもでもあることを、ここでの生活を通じて深く理解できるようになると、私たちは信じています。

理念の共有

私たちは、ここで被災者をお世話します。ここは原発反対を声高に発言する場ではありませんが、最低、被害者の身になって考えることは必要です。そうした私たちの姿勢を理解していただくからこそ、ここには募金が送られるし、ボランティアが助けてくれるのです。

ここに働く職員は、この施設の目的に関わることを欲する強い意志をもつ、あくまで自立した個人でなければなりません。ここは他の職場よりも仕事は大変な場合もあるかも知れませんが、無償のボランティアとして来てくださっている方々は、もっと大変であることを、絶えず考える必要があります。

理念の共有

さらに理事や会員はもとより、職員は、この理念に共感する人しか仕事が続かないと思われること、またそうでなければボランティアの人々とのいい関係が築けないことなどを考え、雇用に際しては、理念への深い理解とこれに共感をしたという署名をお願いしています。

職員は言うまでもないことですが、ボランティアを希望される方々は、この沖縄・球美の里のホームページの「団体について」に書いてある各項目を何度もお読みいただいて、それを理解したうえで申し込んでください。アルバイトやパートの方も、お読みいただいて、理念へ合意の上、ご協力ください。

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